れれれざうるす

ケスのれれれざうるすのレビュー・感想・評価

ケス(1969年製作の映画)
4.0
イギリスの労働者階級の家庭に生まれた少年ビリーの孤独な日常と一筋の希望を、ケン・ローチ監督が描く。「リトルダンサー」は「ケス」のオマージュだそうで、現実を叩きつけられるのが本作。

ビリーは地味で小柄、家でも学校でも除け者にされ、新聞配達をして過ごす日々。炭鉱労働者の無慈悲な兄。理不尽な罰を与える教師達。娯楽などない時代でビリーが見つけたのは一羽の「鷹」。読み書きが苦手だが盗んだ本を読み、ケスと名付け調教する。

かわいい男の子ジャケに惹かれてハートフルドラマと思って観たのに、盛り上がりがある訳でもなくただただ辛辣に少年の日常が映し出されて唖然。
家族愛?そんなものありやしない。なのに心臓鷲掴みにされました。

ビリーが草原で鷹を飛ばすシーンは時間が止まったかのように美しく温かい。一人と一羽の世界。
「自分のそばで飛んでいるのを見れるだけでいい」と、気高い猛禽をペットではなく、尊敬の眼差しで見つめる様は自由に飛びたいという現れなんだろう。国語教師だけが唯一、彼の魅力を引き出し、人として注目させてくれる。次第に熱弁し出すあのシーンはすごく輝いてた!
そしてラストシーンはぶつ切り。これがこの社会で生きるってことなのかな。辛い。

少年の裸シーンが多くて、絶妙な角度からショタタマが見れて私は興奮したっていうどうでもいい話は黙っておきます。