20世紀のデンマークを代表する女流作家カレン・ブリクセンの同名小説を映画化。
19世紀後半、デンマークの小さな漁村にて。質素な生活を送る初老のプロテスタント姉妹のもとに、家族を失いパリを追われたフランス人女性バベットがやってくる。
「あの世に持っていけるのは人に与えたものだけだ」
心洗われた。優しく、穏やかで、心がじんわりと温まる。
素晴らしい作品だったね。それで十分な気もする。
「食」が人を幸せにする。口にするだけで自然と笑みが溢れる。過去の未練や長年のいざこざすらも受け入れさせてしまう。これが"究極の料理"なのだと思った。
「食」というものは他の生命の犠牲の上で成り立っているということがきっちり描かれている。作品として「食」に対して真摯に向き合っていることが分かるし、その有り難みがより一層伝わってくる。
バベットが自分の料理を食べる村人たちのリアクションを一度も見ない所が味わい深かった。感謝の想いさえ伝わればそれで十分だったんだな。
「貧しい芸術家はいません。」「世界中の芸術家の心の叫びが聞こえる。私に最高の仕事をさせてくれ。」
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