ATSUSHI

殺しのドレスのATSUSHIのレビュー・感想・評価

殺しのドレス(1980年製作の映画)
5.0
神出鬼没のブロンド!その女の手に剃刀が…


断言する。デ・パルマの最高傑作!!
たとえタランティーノから「いやお前、そこは『ミッドナイトクロス』だろうが」とかツッこまれても賛同できない。エロティックサスペンスというジャンルの中でもこれほど美しい映画はない、エロと暴力どちらが欠けても成立はしないし、ピノ・ドナッジオ大先生の至福の美麗スコアだって無くしたって意味が無い。

自主制作映画に関わってた時期、この映画からは特に刺激を受けて、身の程そっちのけでカメラワーク(入念すぎるぐらい入念!)、音楽、台詞まで引用してしまった思い出だってある。
夫婦で映画をやるってパターンに傑作が多い、とこれまでも言ってきたように本作もそれを確信させるぐらいに的中。ブライアン・デ・パルマ×ナンシー・アレンって思い返せば凄い夫婦だし今は別れてしまったのは残念だけど、それでこの映画の輝きが失われたりしない。

前半を占めるアンジー・ディッキンソンもインタビューでこの映画に関して誇らしげに語っているのもこっちが嬉しくなる。
流石としか言いようのない美術館のシーンは台詞やナレーションの代わりに彼女のヒール音が感情を語ってて、妖しいスコアも含めてなるべく音量高めに鑑賞したい。あるいはヘッドホンも推奨!





















そしてこの傑作をレビューするに当たって注意したいのは、やっぱりヒッチコックの名は出さない事だと思う。どんなに構成が共通してても。
デ・パルマ本人も現場で名指しすると怒られる事でも有名のようだし、実はかなりデリケートな問題。ファンとしてもここは守っておきたい。