Arx

殺しのドレスのArxのレビュー・感想・評価

殺しのドレス(1980年製作の映画)
3.7
ヒッチコックの「サイコ」をオマージュした作品で、確かに一人の人間に二人の人格があるという設定では同じだが、「サイコ」では否定されていた性的錯綜者としての二重人格がテーマになっている。

欲求不満な人妻が美術館で行きずりの男とセックスするのだが、ここの表現が素晴らしい。(ちなみに、2回目見て初めて人妻がタクシーに乗り込むシーンで犯人が一瞬映ってるのに気づいた。)

また、全体を通して様々な鏡の使い方を行っていて、鏡合わせの犯人を写すことで2重人格を暗示したり、死角に隠れている犯人を鏡越しに気づかせたりしている。

鏡や光の使い方や迷宮のような美術館のシーンによって、緊張感あるサスペンスでスラッシャーな殺人シーンもあるのにまるで夢を見ているかのような気分にさせられ、そういう意味では「サイコ」というより「めまい」では?とも思う。

あと、ストーリーとは関係ないけど殺された人妻、自分の手袋を地面に落として忘れるのはともかく、自分がタクシーで脱いだパンツや結婚指輪まで忘れるのはいかがなものか
Arx

Arx