ゆみな

シークレット・サンシャインのゆみなのレビュー・感想・評価

3.8
チョン・ドヨンが神がかっている作品でしたね。そりゃカンヌで主演女優賞獲っちゃうよ。当たり前って思うくらいの演技してたもん。

でもまあ、これストーリーも完璧なんじゃないの?ってくらいよく出来ててね。
亡くなった夫の故郷である密陽(ミリャン)にシネ(チョン・ドヨン)と息子が引っ越してくるところから話は始まります。その道中に車が故障してレッカー車を呼ぶんですけど、その運転手がソン・ガンホなんですよ。ここが出会いね。
で、密陽でピアノ教室を始めたシネは街に馴染もうとするんだけど、住人達は興味本位で彼女の陰口を叩いたりするんですね。でも、彼女は見栄をはり満たされているような振る舞いをしてしまう…これがある事件を呼び起こしてしまうんですね。

シネは事件後…精神的にも肉体的にも打ちのめされて…一人では立っていることもままならなくなり、薬屋の奥さんに勧められてキリストにすがるようになります。彼女は次第にこの試練は自分に神が与えたものだと考えるようになり、自分が赦しを施す側の存在だと思ってしまうんですよね。でも、彼女を苦しめる存在を赦そうとしたのに…彼はもう既に神に赦しを得たって彼女に言うんです。こんなに辛いことありますか?自分を苦しめている存在が、自分以外の者に赦されて穏やかな表情を浮かべているなんて。シネはまたも崩れ落ちるように狂っていきます。もう、このあたりのチョン・ドヨンはほんとに凄まじくてね。一人の人間なのに色んな顔が見えるんですよ…ちょっと鳥肌たちますね。
いちばん怖かったのは青姦しながら空に呟くシーンですかね。あれ、神に言ってるのかな…って思うと怖かったです。

ラストシーンがまた素晴らしく良くて…陽の光の中に本当に大切な存在が見えるシーンね。序盤の「何も見えない」って言ってたシーンがここで活きてくるんですよね。彼女は目で見えない大切なものを心で見ることが出来た。ここからきっと穏やかな日々が訪れると思いたいな。この密陽と言う場所で。
ゆみな

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