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シークレット・サンシャインのレクのレビュー・感想・評価

4.9
絶望の淵に立たされたシングルマザーが救いを求め縋ったものは神の教え。
信仰に対する懐疑、宗教そのものの矛盾を指摘する救済に対する問題提起。
万人が救われるはずの教えが、時には更なる絶望を齎すという皮肉。
"赦し"と"心情"の乖離が生む葛藤の亀裂から差し込む陽の光は救いの一手なのか?

この誰にでもあり得る現実と心情の乖離が、感情移入とは違った共感を生む。
感情を揺さぶられる感覚は心地よくもあり、重くのしかかるものでもある。
そんなずっしりとくる題材を良い意味で抑制の効いた演出や繊細な演技で描き切った超傑作。


ここからは余談ですが
"許し"と"赦し"は意味合いが異なります。

"許し"には「許可」という意味合いがあり、行為や行動を起こす前の段階で使う言葉です。
一方で、"赦し"には「恩赦」という意味合いがあり、既に起きた出来事や過ちに対して、受け入れることを指します。

"許し"は自身の許容範囲の中にあるものを良しとすること。
"赦し"は自身の許容範囲を越えたものを受け入れることではないでしょうか。
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