でしょうかな

シークレット・サンシャインのでしょうかなのレビュー・感想・評価

4.1
ソウルから亡き夫の生まれた密陽に息子と共に引っ越し、ピアノ教室を開いた女。彼女の車を修理した男は、彼女に妙に惹かれるが、彼女はすげない態度。しかしある事件が起きて、彼女は心を壊していく。

序盤は少々退屈だが、ここから既に不穏な雰囲気が漂っている。主人公は人付き合いが苦手なのか、隣人との摩擦が見られるが、一方で息子には惜しみない愛を注いでいる。しかし中盤に起きた事件が切欠で、主人公は神を信仰するようになる。しかしある出来事のためにむしろ神を恨むように…と二転三転する彼女の心情と、それが浮かぶ言動の変化は見ていて痛々しい。息子、神、神への怒り、その時々で一つのものにしか心血を注げないのだろう。そんな彼女に袖にされながらも、修理工の男は付きまとう。彼が主人公の心に寄り添っているかといえば微妙というか、率直に言って極めて軽薄だろう。特に信仰の辺りは、むしろ主人公を後ろから刺しているような場面もある。しかし、すげない態度でも、信仰にかぶれても、壊れてしまっても、最初から最後まで主人公の側にいるのは彼だけだ。男は軽薄だけれども、こうした程々の適当さが、逆に見捨てることに繋がらず、時には寄る辺になるのかもしれない。本作の宗教も、そういうものとして描かれているのかな?過度にすがらず、何か良いことがあれば儲けもの、みたいな?
でしょうかな

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