しちみ

THE WAVE ウェイヴのしちみのレビュー・感想・評価

THE WAVE ウェイヴ(2008年製作の映画)
4.5

『 最初の質問を覚えてるか? 独裁はもうあり得ない?』

非常に良作でした。正直パケ写をみてB級映画だと勝手な偏見を持って見始めたのですが、これはなんとも言い難い素晴らしい作品ですな。

ドイツならでは…いや、ドイツにしか作れないでしょうね。正直見ていて非常に不愉快になる系統の映画だと思います。笑

ある教師が"独裁"というものを教えるためにクラス内で模擬独裁(政治)を行うというストーリーの本作ですが、実話がベースとなっているみたいですね。
こんなことが実際に起こっていたなんて思うとガクブルです(笑)

ある日人と人だった集まりが突如として指導者とそれに従う群衆になってしまう怖さ。題名通り波に呑まれてしまうと歯止めが効かなくなる怖さ。そしてなにより観ている人が1番怖いのは"自分の価値観が本作の中では圧倒的少数"になるということじゃないでしょうか?
(映画をみて圧倒的少数派じゃなく、ウェイヴを支持し始めたらそれはそれで怖いのですが…笑)

どうみてもカロがやっていることは間違っていないはずなのにウェイヴという集団においては異端であり、変革者でしかない。それが見ていてとても不愉快かつ気持ちが悪いのです。

団体行動・団結力・共同・助け合い・同等
これらの語句は一見とてもいい意味ですが、この言葉の裏に潜む無個性・特異性・秀逸さ・敬愛を忘れてはいけないということです。

"宗教や人種、身分の垣根を超えて"
とても大事で素晴らしいことだと思います。でもそれは宗教や人種、身分というアイデンティティーを殺してはいないだろうか?

よく一本の映画にまとめたな、あっぱれ!と思いました。
ネタバレになってしまうので書けないですが最後に指導者だった教師が取った行動は"良き教師"だから出来ることであり、そう思いながら最後まで観ると余計に恐ろしく後味が悪いです。
色んな人に是非見てもらいたい作品です!


余談ですが私自身教師になることが夢なので教師になる過程で観ておいて良かったなぁ、と思う映画に『しちみの教職ムービー』というタグを付けることにしました(^-^)
過去鑑賞の物にも順に付けていくので興味がある方は覗いてみてください!

そして教師目指してるならこれ見といた方がいいよ!という作品がありましたら教えてください!!☻
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