KAN坊

犬神家の一族のKAN坊のレビュー・感想・評価

犬神家の一族(1976年製作の映画)
4.0
Netflixにて鑑賞。
初めて市川崑作品に触れました。
一言この時代の日本映画は間違いなく世界に誇れるものだと思います。

特に大好きなシーンが映画冒頭の犬神一族が佐兵衛の臨終前に全員集合をしている。
各登場人物の思惑や考えというのを直接的に描いてはいないけどこのシーンからこの後に起こるであろう遺産相続のゴタゴタを容易に想像することができる。
その後の『ご臨終でございます』というセリフの後に始まるオープニングの大野雄二の愛のバラード。流れがほんとうに素晴らしい。
オープニングからこんなに引き込まれる映画はほかにない。

その後に登場する石坂浩二の金田一耕作の可愛さやお茶目さなどは混沌とした遺産相続のストーリーの中和剤としてとても良い。

殺人シーンに関しても目を瞑りたくなるくらい残酷で鬼気迫るものがある。

ただこの映画からいわゆるメディアミックスという宣伝手法が広まったことを考えると角川春樹事務所の罪は少なからずある。
もちろんこの当時は角川の
「読んでから見るか、見てから読むか。」
と映画と小説を同時に宣伝するというやり方は今と比べ娯楽が少なかった時代を考えるとこの宣伝手法はワクワクするだろう。
ただその後メディアミックスという宣伝手法がRHYMESTARの宇多丸氏曰く
「世界の亀山モデル」と揶揄されるようなテレビ、CM、その他あらゆるメディア媒体を使った映画宣伝手法が日本映画の成長を阻んでいると考えたとき、
初めてメディアミックスを行った角川春樹事務所の罪は少なからずある。

ただ上記のようなことを考えなければ日本映画の金字塔であることは間違いない面白い映画です!
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