BOB

ヒストリー・オブ・バイオレンスのBOBのレビュー・感想・評価

3.5
デヴィッド・クローネンバーグ監督のクライム・ドラマ。

ダイナーを営む温厚で真面目な男が、強盗を撃退して地元のヒーローになる。しかし、その報道を機に怪しげな一団が現れる。

"In this family, we do not solve our problems by hitting people!"
"No, in this family, we shoot them!"

『過去を逃れて』と『ツイン・ピークス』を足したような作品。想像していたヴァイオレンス映画ではなかったが、確かにクローネンバーグ監督がヴァイオレンス映画を撮ったらこうなるか、という納得感みたいなものはあった。

同世代の二人のデヴィッド、デヴィッド・クローネンバーグ監督とデヴィッド・リンチ監督。アメリカの"平和な"田舎町を舞台にした犯罪ドラマ、どこか間の抜けた気怠い空気感、美味いコーヒー☕。『ツイン・ピークス』を想わせる。改めて二人のフィルモグラフィーを見てみると、奇形・グロ描写、セックス&ヴァイオレンス、美しい悪夢的世界観など、共通点が多い気がする。

長年ボディホラー映画を手掛けてきたクローネンバーグ監督らしいヴァイオレンス描写が見られる。多くの映画に登場するヴァイオレンス描写とは違い、体の一部が切断されたり、吹き飛んだりするのではなく、人体変形がメイン。アクションにもスタイリッシュさはない。個人的には、殺し合い時のヴァイオレンスより、セックス時のヴァイオレンスの方が鮮烈だった。階段のシーンとかなかなかハードだった。

ヴィゴ・モーテンセンとエド・ハリスとウィリアム・ハート。4分半にも及ぶワンカット長回しのオープニングシーンが印象的。ラストの無言の食卓シーンも意味深だった。

監督曰く、誰にも良い顔をしたがるヴィゴ・モーテンセンの役は、イラク戦争時のアメリカ・ブッシュ政権をモチーフにしているらしい。

"Jesus, Joey."
"Jesus, Richie."

50
BOB

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