牛猫

13Fの牛猫のレビュー・感想・評価

13F(1999年製作の映画)
3.5
仮想世界と現実世界を行き来できるシステムの開発者が、上司の殺害容疑の謎を晴らすため奔走する話。

キアヌリーブス主演の「マトリックス」と似た設定で同年公開という、なんとも不遇な作品。比べると確かに派手さや華はないけど、アイデアも面白いし中身は引けを取らない出来だと思う。
1930年代のロサンゼルスを再現した仮想世界は、当時の情景を知っているわけではないけど、ノスタルジックで良い雰囲気だったし、殺人事件の謎を巡るサスペンスフルな展開は先が読めなくてワクワクした。
ただ後半の展開は少し安易な気もした。
世界の果ての演出も、物語の肝となる部分なのでもっと頑張って欲しかった。

しかし、なんといっても限られた登場人物のみで、これだけ世界観に広がりを持たせられるのが凄いと思った。同じ役者でも、現実世界の自分と、仮想世界の単なるプログラムとしてのキャラクターが全く別人に見えて、演技の幅を楽しめた。とくにヒロイン役の女優さん。仮想世界のあどけない感じと、現実世界の妖艶な雰囲気のギャップが素晴らしかった。役者の知名度が薄い点も逆手にとって、仮想世界というテーマが見事に昇華されていたように思う。

金髪ロン毛の微笑みデブも最高だった。
牛猫

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