しゃにむ

穴のしゃにむのレビュー・感想・評価

(2001年製作の映画)
1.8
「穴があったら入れてみたい」(詠み人知らず)

<穴と鍵の女王>
当方は穴より女子アナ派。ん…待てよ…穴と女子アナは同じ穴のむじな…?(意味深)

・あらすじ↓
名門ブレイボーン学園で生徒失踪事件が発生してから18日目に女生徒が生還。彼女以外の生徒3人は皆死亡した。彼女たちは学園の近くにある地下壕にいたという。何故そんな場所にいたのか、何故死者が出て、何故独りだけ生還出来たのか。全ての秘密を知るのは「穴」からの唯一の生還者リズ。彼女の証言ではマーティンという男子生徒が監禁計画を企てたという。マーティンが逮捕され事件は一件落着と見えたが、マーティンの証言はリズの証言とずいぶんと違っていた…

・要約
芥川龍之介の「藪の中」みたいに証言が食い違い登場人物の裏の顔を垣間見る感じが実に不気味な密室サイコサスペンスです。例の如くネタバレには注意します。事実には表しかないのです。裏を言った奴は嘘つき。今作には嘘つきが独りだけいます。ストーリーを追っていけば誰が悪者か目星がつく親切設計なので謎解き要素は薄いかな。個人的には人の持つ「歪み」が見えたのが怖かった。事件の関係者が皆ティーネイジャーということもあり精神の振り幅が不安定。よって歪み方が大人より酷く、エグく映りました。

・リズの証言
事件の全貌を見渡す視点は2つ。まずはリズの証言について簡単に述べておきます。

大人しくて地味な女生徒リズは学園1のモテ男マイクに片思い中

友人のマーティンに相談

マイク達にダルい研究旅行の代わりに防空壕でダラダラ過ごす提案をする

マイクとリズを含む4人で防空壕で過ごしていると出られなくなる

マーティンはリズに片思いをしていてマイクとの仲良くなるのが嫌だったので監禁(?)

監禁する目的はマイクとリズが不仲になることらしいです(回りくどい笑) リズの証言が弱いのは死人の説明が無いことです。生還者はリズだけです。となると他の3人は何らかの形で命を落としたことになるはず。それなのにリズの証言ではマーティンが監禁の犯人であることしか分かりません。どゆこと?

・マーティンの証言
警察署で尋問された際の証言です。

学園でかなりビッチなグループに属すリズはマイクにぞっこんだった

彼を自分のモノにするために防空壕で秘密のパーティを提案する

期日の3日目を過ぎても出られないように秘密裏に内側から鍵をかけておいた

(マーティンは以降は知り得ないはず)

何らかの事故、事件が起きたのか?

もしマーティンの証言が正しいならリズはとんだ嘘つき野郎になります。まるでマーティンを犯人に仕立て上げるような悪意のある証言です。「真実はいつも一つ」なので証言の食い違いはそもそも起こり得ない。

平気で嘘をつける神経にゾッとします。自分たち善良な小市民と同じような平凡な顔下は穢らわしいケダモノです…ヒヤリ。

・終わりに
いざ観終わってみるとそんなもんかなとやや物足りない感じがします。想像力で情景を補完するとより恐ろしく思えるかも。どちらが嘘つきのケダモノなのか。人間の皮膚の下にケダモノの生臭い息を感じ震えるべし。ちなみに当方の好きな穴はマルコビッチで好きな女子アナは水トアナであります。
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