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穴の4423のレビュー・感想・評価

(2001年製作の映画)
4.5
ガイ・バートの原作は読了済み。話自体は単純明快である。英国のパブリック・スクールに通う生徒たちがイースター休暇の三日間だけ遺棄された地下の穴ぐらに閉じこめられる。三日後にマーティンという生徒の手によって固く閉ざされた扉は開けられるはずだった。しかし、そのマーティンがやってこない……というもの。

このあらすじだけを見ると、生々しいサバイバルものになりそうだが、本作はそんなありきたりなものではない。原作原題の『After the Hole』という意味からして、彼らが体験した出来事は既に過去のものであり、我々はその体験をリアルタイムではなく、至るところに散りばめられた過去の残滓を拾い集めながら追っていくことになる。

つまり、唯一の生存者とされる人物による体験の語りは真実を語っているのか否か。その間、ありとあらゆる可能性が示唆され、その全てが真実であると同時に、真っ赤な嘘のようにも思えてしまう。疑心暗鬼に満ちた迷路のような作品。

どのシーンも別人に見えてしまう、ソーラ・バーチの演技が大変素晴らしかった。
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