Boss2054

子連れ狼 子を貸し腕貸しつかまつるのBoss2054のレビュー・感想・評価

4.7
小池一夫氏のキャラクター理論と云う本を読んでいる。
その方法論の確認のために観た。

実は、米国版の逆輸入Blu-ray。
若山富三郎さん主演の全6作品。
日本語のセリフに英語の字幕が付いている。
コレが実に画がキレイ。
日本版もこんなにキレイなのだろうか?

さて、その理論の実践の確認だが、
先ず、キャラクターを起てる。
オープニングで公儀介錯人である拝一刀の活躍振り、
某藩の殿様、と云っても殆ど幼児、
このシーンで拝一刀の非情振りと腕前を魅せる。
そしてオープニングタイトル。
タイトル後はすでに子連れ狼になっていて、
あれっ?
と思わせる。
この、あれっ?
が小池一夫氏曰く、
謎の提示である?
何故、子連れ狼になってしまったのか?
その事情が知りたくて、
私たちはその先を観てしまうワケだ。
コレが小池一夫氏のテクニック。
次から次へ、
大きな謎、小さな謎を繰り出して、
観客を引っ張って行く。

それと主人公の大目標。
この場合は、
裏柳生、具体的には、
柳生烈堂への復讐である。
その復讐への道のりで色々なエピソードが繰り広げられる。
つまり、いつまでも、続けられるワケだ。
お見事!

映画としては、
三隅研次監督の大胆な演出が素晴らしい。
劇画の映画化を狙ったのか、
大胆な表現が目立つ。
特に殺陣。
首が飛んだり、腕が飛んだり、
若山富三郎さんの神業的な立ち回りと相まって、
凄まじいシーンになっている。
海外の監督たちが真似したがるのも良く分かる。
ガンアクションじゃ、
なかなか出来ないもんね。
それと効果音の使い方。
画を強調したい時に意図的に、
効果音を消す。
例えば、雨が降っていても、
雨音が聞こえない。
画とセリフだけである。
故に、画とセリフに集中せざるを得ない。
何度も観ているが、
今回初めて気が付いた。

もうこう云う、いわゆる、残酷な表現も許されないのだろうが、
出来れば、
最新技術を駆使した、
子連れ狼を観てみたい。
今だったら、誰が演るのだろう?
Boss2054

Boss2054