dita

炎上のditaのレビュー・感想・評価

炎上(1958年製作の映画)
4.5
まずはじめに、原作は未読なのでわたしはわたしの感じたことしか書けません。ご了承ください。

「誰もわかってくれへんなぁ…」に折り合いをつけ、「何も考えへんのがいちばんいい考えだ」を拠り所にして生きることに随分と慣れてしまったわたしにはとても辛い映画だった。

考えすぎて眠れない日々、不安定な精神を薬で紛らわす日々、信じたい物事や信じあいたい人を試しては傷つく日々なんてもうごめんだ。俗世にまみれ、孤独に背を向けたほうが生きやすい。そんな建前を自分に言い聞かせているうちに、自分のこころがどこにあるかもわからなくなってしまった。わたし自身がわたしに向き合わない限り、家族はもとより友人や恋人とどれだけ気持ちを通わせたとしても、わたしの本心はわたしさえも知らない場所でじっとうずくまっている。絶望の炎と心中する勇気もないままに。
dita

dita