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ボブ・ディラン ノー・ディレクション・ホームのbssymphonyのレビュー・感想・評価

4.0
(20081030)
経歴詐称してニューヨークに現れレコードデビュー、エレクトリック・バージョンへの拒否反応にさらされたタイミングでオートバイ事故で一時フェードアウトするまでのディランの20代を追いかけたドキュメンタリー作品。スコセッシの、ブルーズ・プロジェクトで培った古い記録映像をうまく映像作品に集約していく手法が生かされています。前半はウディ・ガスリーを中心にディランの音楽的ルーツをたどるもの、後半はジョーン・バエズとのすれ違い恋愛が話の中心(老境の2人がお互いの若いころの話を色々憶測まじえて語ります)。それはさておき実際にはニューポートの中断されたステージとか英国ツアーのバックステージの姿とか、見せ場は非常にたくさんありますが、当然と言えば当然ですが本人に語らせても謎の部分は謎のまま、観る前以上にディラン本人については判らなくなる印象。アレン・ギンズバーグやらジョニー・キャッシュやらデイヴ・ヴァン・ロンクやらどこから見ても変な人がたくさん出てくるのも楽しみの一つです。コメディになるくらいエンターテインメントのジャーナリズムがいかに下等か、というのも良く見えます。
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