モルダー

ブレイブハートのモルダーのレビュー・感想・評価

ブレイブハート(1995年製作の映画)
4.0
スコットランドの独立と復讐のためにすべてをかけて戦った実在の男を描く壮絶な戦争史劇映画の名作(史実とは相違点が結構あるらしい)ですが、今更ながらの鑑賞です。
スコットランド原風景?の美しい空撮で始まるも、幼少期ウォレスが家族を殺される序盤の悲壮感、重苦しさはかなりのもの。
時が経ち、大人になったウォレスと幼馴染の女性との恋愛シーンで序盤の鬱屈した気分が緩和されたかと思いきや、
その後に密婚するはずの彼女まで虐殺される一連の流れでこれ以上無いほどにウォレスの悲劇の人生が語られる。
殺戮や初夜権といった13世紀当時のイングランド王エドワード1世の暴政の残酷さを植え付けられた前半で、
観客は完全にウォレスへ感情移入し、復讐心のボルテージが見事に溜まっていく。

その溜まりに溜まった感情を爆発させる戦闘シーンは最高に痛快である(馬が木で刺されるシーンは痛々しいけど!)。
鬼のように暴れるウォレスの高い戦闘力、スコットランドの民衆の支持をみるみる集めるカリスマ性、勇猛さ、猛々しさは本当に圧巻だった。
ライオンの鬣のようなヘアスタイル、精悍な顔つきは正に【獅子奮迅】と呼ぶに相応しい。
「我々の命は奪えても、我々の自由は奪えない!」の名言が心に響く。
加えて木の長槍、奇襲といった作戦面での軍師の一面さえも持つ頭脳派なのも面白い。
そんなウォレスを見事に演じきった監督兼主演というメル・ギブソンは劇中では、もはや漢の中の漢にしか見えない。
しかし最初にイングランド軍とウォレス軍が草原で接触するシーンは緊迫感があるね~
剣・槍・弓を使う古い時代なので、画的にめちゃくちゃ派手ではないが、息を呑むような迫力、首が飛ぶような残酷さもリアルに描かれている。
青塗りの顔に赤の血飛沫がコントラストになっていて何ともゾクゾクした(青塗りの文化は古代ケルト人の風習らしい)。
『アポカリプト』でも感じたが、メルギブは軍隊シーンを描くのが天才的に上手い気がする。

また復讐の戦闘シーンだけでなく、二転三転する展開の中で、葛藤、裏切り、自由意志、ロマンスなどあらゆる人間ドラマも描き、映画の厚みを凄まじいものにしている。
この壮大な戦闘シーン+人間ドラマを描く点は、『ロード・オブ・ザ・リング』や『ゲーム・オブ・スローンズ』の原形なのかもしれない。
長くなりましたが最後にひとつだけ書かせてください・・・地面に突き刺した剣が不自然に揺れすぎじゃない?笑
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