黄推しバナナ

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド 最終版の黄推しバナナのレビュー・感想・評価

3.0
監督 : ジョージ・A・ロメロ、脚本 : ジョン・A・ルッソによるホラー映画史上の最大発明と言っていい作品。

53年前の作品であるため、白黒映像、カメラアングル、演出、BGM、が1960年代…
冒頭、カメラ固定の遠目から一台の車(1968年型、ポンティアック・ルマン、たぶん白色)が田舎道を走る。少しずつカメラの方に近づいてくる。
今ならカットが入り車内映像、運転手目線映像、車輪が回転映像、などなどアイキャッチがあるがそれは無い。皆無。
ドラキュラ、フランケンシュタイン、狼男、半魚人でよく聞く「レトロな恐怖を煽る音楽」。おどろおどろしい…
場所が変わるもカメラ固定の遠目から一台の車が田舎道を走る構図は同じ。
スタッフロール、少しずつカメラの方に近づいてくる車。
メイン道路から右折し奥に入って行く。
墓地案内の看板が目に入る。
目的地の墓地に到着するバーバラ(妹)とジョニー(兄)。
車内の会話にカメラが切り替わる。
ドア硝子をレギュレーターハンドルを手動で回して上げるバーバラ。
車内から出る間際に嫌な予感を匂わすラジオのニュースが流れる。
父の墓参り最中文句ばかりのジョニー。
遠くで雷の音が雲行きが怪しくなる。
ジョニーがバーバラを怖がらせからかう。
ここで遠くにチラリと怪しい男が映り込む。
怪しい男は近付いて来てバーバラの前を遮り襲いかかる。
ジョニーがバーバラを助けに割って入る。
ジョニーは怪しい男に押し倒され墓石に頭を激しく打ち死亡。
逃げるバーバラ。
転んでハイヒールを失う。
車に逃げ込むも…カメラがキーシリンダーにアップ…鍵が無い…慌ててドアロックに手を伸ばす。
右のドアをロック、左のドアをロックした瞬間、怪しい男が間近に…ドア硝子を石で割る怪しい男…
初期のゾンビは道具を使うし早歩きでイカれた人間の印象が高い。
バーバラはステアリング左横のサイドブレーキを手前に引いて解除。
坂を徐々に下って行き怪しい男を引き剥がす。
途中木に激突する車。
車を捨てて逃げるバーバラ。
怪しい男が後ろを追ってくる。
ポッンと一軒家を発見。
玄関は鍵が掛かっている。
裏口から家内に逃げ込むバーバラ。

約10分、実に良い。

出来ればゾンビと言うカテゴリーが無い1968年に見たかった…生まれてないけどね…

怪しい男が電話線切ったり、一軒家に新たに黒人青年のベンが逃げ込んで来たり、地下室には若いカップルのトムとジュディ、クーパー夫妻と大怪我を負った娘が潜んでいたり、周囲をゾンビの群れに取り囲まれていたり、ヒステリックで立ち尽くすだけの弱バーバラだったり、ドアや窓を塞ぎゾンビの侵入を防ぐベン、救助が来るまで地下室に籠ることにこだわるハリー・クーパー、ベンとハリーの対立だったり、テレビで知った最寄りの避難所への脱出でガス欠のトラックに給油中漏れたガソリンに引火してトラック爆発炎上トムとジュディ焼死したり、大量のゾンビが一軒家になだれ込んだり、クーパー夫妻の大怪我を負った娘カレン・クーパーがゾンビになったり、クーパー夫婦がゾンビの娘に殺されたり、ゾンビになったジョニーにバーバラがゾンビの大群の中に引きずり込まれたり、最後まで生き延びたベンが最後に✕✕になったり、沢山集まった警察と自警団のゾンビ大量殺害だったりと、感情のある人間が一番狂気的というエンドロール…

トラブルや災難、ゾンビに対してのマニュアル、後人に擦り上げられた名場面に次ぐ名場面は尽きない…そのため見てて飽きない。

だが1960年代、53年前の作品であるため今のゾンビになれている人にはイマイチだと…

当たり前!

あえてそれが良い!

わたしは一向にかまわんッッ!

余談ですが、

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」

「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド 最終盤」

大まかな違いは、
約0分〜6分、工場らしき場所から棺桶を運び出す葬儀屋の男二人。警備員と雑談後トラックに棺桶を乗せ走り出す。墓地に辿り着きヒックス牧師の御祈りの後に埋める準備を始める葬儀屋。生き返る怪しい男ゾンビ。葬儀屋はトラックに慌てて飛び乗り逃げる。
約45分〜47分、街中のシーンで木に突っ込んだ車、左手を失った看護婦ゾンビが車の運転手を貪り食らう。それを奪う大量のゾンビ。
約57〜58分、街中のシーンに登場したゾンビが一軒家に押し寄せる。
約99分〜101分、テレビ局リポーターの女性とカメラマンとヒックス牧師。沢山集まった警察と自警団のゾンビ大量殺害の実況中継。ヒックス牧師の前に冒頭の怪しい男ゾンビが接近しヒックス牧師をかじる。スコップで攻撃する自警団。最後は怪しい男ゾンビを銃で射殺。
約105分〜110分、白い車が建物の前に止まる車内からテレビ局リポーターの女性が降りてくる。犬を膝の上に起きインタビューを受けるヒックス牧師。

画質が違う追加映像にテイストが明らかに違うBGMが追加。

世界観の拡張とゾンビの発生源、狂気的な人間の描写映像を追加したかったのだろう、ジョージ・A・ロメロ監督が正規版に何故描かなかったのかは、敢えて作品を見ているこちら側に委ねたのだと解釈している。

最終版は描くことにより正規版の世界観を壊してしまった…
実に皮肉な話である。

因みに「最終版」にはジョージ・A・ロメロ監督は関与してません。

①鑑賞年齢20代(社会人)
②心に余裕鑑賞なし
③思い出補正あり
④記憶明確
黄推しバナナ

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