墓参りにやってきたジョージとバーバラの兄妹。
甦った死体が襲いかかってきてジョージは格闘の末に死んでしまう。
近くの家に逃げ込んだバーバラは、他の避難者たちと合流し一軒家に立て籠もったが、ゾンビの群れが押し寄せてくる。
ゾンビ映画の巨匠ジョージ・A・ロメロのゾンビ映画第1作となる歴史的作品……の、いろいろ追加した映画。
改悪ver.と言われてるが、個人的に言うほどキライではない。
これが亜流の源かと思うと、感慨深いものがある。
だけどこの最終版は、日本サイドでは完全にパロディか何かとして受けとめられたんじゃないかと思わせるところがあります。
例えばチャプターの各タイトル。
「火あぶりゾンビ」、「ゾンビうじゃうじゃ」、「緊急ゾンビニュース」...。
明らかに笑いに走ってますね。
しかし白黒映画ということもあり、恐怖感、グロ度、メイクなどは格段に劣りますが、時代が時代なだけによく作ったと言えます。
ゾンビ発生の説明(ちと怪しい)から察するに、当初の設定は噛まれる=感染じゃなくて、噛まれて死んでまう→ゾンビとして動き出す、なんですね。
また、ゾンビ映画の基本とも言える、「仲間割れ」「女子の余計なセンチメンタル」「仲間がゾンビ化」などによって、まんまとゾンビに喰われるというシチュエーションもてんこもり。
ほぼ全編モノクロで語られる本作は、死人が蘇って大挙して襲ってくるというゾンビ自体の怖さ以上に、一軒の家に立てこもることになった人間たちの、自分の保身のための本性を剥き出しにした醜い争いが怖い。
ヒロインのバーバラはただギャーギャー言ってるだけ。
仕切り屋の黒人は「俺がボスだ!」と言い切り、利個的なハゲ親父は非協力的…。
あまりにもモラルに欠けた世界がそこにはあって、非常に痛々しい気持ちでいっぱいになった。
危機的状況になった人々の心理描写が上手く描かれた作品。
ホラー映画としてゾンビを楽しむとゆーよりは、ゾンビ映画の流れを知る為には外せない作品でしょう。
ただ、現代ではお決まりのプロットになり過ぎていて、新鮮味を感じないのも事実。
ロメロは次の作品の『ゾンビ』で、もっと完成された社会考察的な含みを持たせるので、これはまだテーマの設定が浅く、秀作の域を出ていない。
あと、ゾンビ軍団の中にスッポンポンの人が混じってたんで、そこだけは突っ込ませてもらいます。
なんでやねん!