わかめ昆布

KOTOKOのわかめ昆布のレビュー・感想・評価

KOTOKO(2011年製作の映画)
3.9
痛い、辛い、痛々しくて鋭い。
いつから壊れて行くのか、繊細すぎて冒頭からヒヤヒヤしっぱなし。
あまりにも殺伐としすぎて、束の間のホッとするシーンの度になぜか泣きそうになるし、ヒロインがもろすぎてずっと泣けた。

とにかくあっちゃん(cocco)の演技が凄い!
製作側にも関わりまくっているとはいえ、本人の話ではないのにリアリティと迫力がすごいスピードで押し寄せてくるからあっちゃんそのもののストーリーかと思う錯覚に陥る。
体当たりなんてもんじゃなく全力疾走。

ヒロインみたいに人間が二つ見えたら生活なんて出来ないよなあ‥本当にこういう幻覚を見る人が居るんだとしたら疑似体験。かなりこちらまで苦しくなる。痛々しさが超ダイレクト。

子供を大切にしすぎて、愛しすぎるあまり不器用で上手くいかないが、知らない他人からすると虐待にしか見えないというのが切なすぎた。

カメラワークも不安を煽りまくる。
超衝撃グロシーンも多数。
彼氏(?)の小説家は、ホラー映画並みにボッコボコの血まみれにされたり何度も手の甲フォーク刺しをくらう‥

直視できないし、逃げ場もないし、あっちゃん好きだけれどもう一度は観たくない。
というか、一回だけでも脳裏にカットひとつひとつが焼きつく。それくらいパンチがあった。

壊れゆく中で部屋だけがずっと可愛い。
危うい可愛さ。ラストあたりのメルヘンな空想世界的描写は新感覚。

ラストにはあっちゃんの実息子もご出演。

高デシベルな音が苦手で、赤ちゃんがずっと泣いてるのとか無理な人は見ない方がいいかも‥
結構限界まで耳攻撃されます。

歌うシーンの繊細な美しさは、やはり魅力的。
恐ろしいけれど、すごい速さで迫ってきて捕らえて離さない。がむしゃらに生きてる姿に勇気と力強さを分けてもらえた気がした。
kotokoは誰よりも生きていた。

トラウマ級だが、あっちゃんの演技には拍手を送りまくりたいのでこの評価です。
わかめ昆布

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