Melko

マイ・ルームのMelkoのレビュー・感想・評価

マイ・ルーム(1996年製作の映画)
3.4
「これほど深く愛せる人がいて、幸運だった」

「もし車を使うなら、先に言っておいて。心配だから」

う〜ん。この内容なら130分でも見れたなぁ。
90分尺は好きだけど、この作品に90分はちょっとまとめすぎな気がした。
詰め込んだ要素が多すぎる。
寝たきりの父
要領を得ない叔母
父を介護する娘 ①ベッシーは生真面目だが白血病にかかり
姉と20年疎遠だった娘 ②リーはベビースモーカーのシングルマザー
その長男ハンクは問題行動ばかりで精神病院に入院

どれもこれもが薄ーく織り交ぜられていて、軽やかに感動するものの、胸にズシンと響く重さはないように感じる。
それでもしっかり泣いた。
私の母も、自分の妹をガンで亡くしていて、
お見舞い時は決して泣かないように決めたこととか
徐々に弱っていく姿、とか
ガン患者が身内にいた人間としては分かる部分結構あり、
「絶対病気なんて吹き飛ばせる」
「きっとドナーは適合しないから今後のことを決めないと」
とか姉妹のやり取りがリアルで共感できたり、
ベッシーとリーが夜中に笑い合う姉妹のホッコリ場面もリアルだし実際に見てきた場面なので、説得力あった。
「寝てしまうと、次に起きないかもしれないことが怖い」と泣くベッシーの姿も痛々しくリアル。

その代わり、母親に構ってほしいばかりに問題行動を起こすハンクの立ち位置がすこぶる微妙で消化不良。
母親であるリーとの、売り言葉に買い言葉なギスギスやり取りは終盤改善されたものの、ベッシーが伝えたかったことや彼自身の生きる目的や目標は見つかったのか?が甚だ疑問。
まぁその抜け落ちたところを想像するのも余韻があって良いのかもしれないが、作品の中でしっかりメッセージを見せてほしかった気もする。

長い間の疎遠を乗り越えて近づく、生真面目で控え目な姉と、ズケズケに物を言う妹を演じたダイアン・キートンにメリル・ストリープは流石の貫禄。その2人に負けず劣らずの爪痕を残したレオ様もさすが。
思春期の親子あるある、謝っても無視されて息子不貞腐れたり、姉妹の口論など、細かいシーンがリアルで良い◎
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