龕裡

ソナチネの龕裡のネタバレレビュー・内容・結末

ソナチネ(1993年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

隠れ家での遊びといえば、最初は拳銃と缶を用いたウィリアムテルごっことロシアンルーレットというヤクザ然としたバイオレンスなものだったが、沖縄の海に懐柔されるようにしてトントン相撲や落とし穴のような幼児的なものに変化していく。しかし落とし穴の際に大杉漣に「いつまでこんな事やるつもりだ」と苦言を呈されてからは釣りや上下関係が強調された宴会芸といった少し大人びたものに変化し、結局はまたフリスビーを銃で撃ったり、花火や拳銃を用いた撃ち合いといったバイオレンスな遊びに戻ってしまう。映画のストーリーもそれに対応するようにして進行する。
北野武演じる主人公が、生命の母たる海に拒絶されたわけでもなく、また彼自身居心地が悪かったわけでもないのに、どういう訳か気付けばふらふらと暴力と死の世界に向かってしまう。わざわざ"どういう訳か"と繋げてるのだから、不可解な事象の筈なのだが、感覚的に分かってしまう。
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