ペイン

ソナチネのペインのレビュー・感想・評価

ソナチネ(1993年製作の映画)
4.5
黒澤明はかつて北野映画を評して“画面に余計な物が映っていないから好き”と言っていた。仰る通りだ。

ジャン・ピエール・メルヴィルよろしく徹底してミニマムな画面構成、余計なセリフや感情表現の排除、突発的な暴力描写やギャグ、言わずもがなキタノブルーと評される映像美の数々…

冒頭、ポスターにもなっている魚🐟の度アップから始まり、徐々にカメラが引いていき1人の若い男が雀荘で忙しく手元を動かしながら麻雀の点棒などを整理している姿を映し出すシーン。このオープニングのスマートさから思わず“ヤベェ”と口に出してしまいそうなほど痺れる。

その後も画面全体を支配する圧倒的なまでの緊張感と緊迫感、かと思うと急にしょうもないギャグが放り込まれたり…その緩急の凄まじさにも“そりゃ世界がほっとかないわ”と思わざるを得ない。

久々に観ましたがまさに北野芸術ここに極まれりといった感じで、日本映画のある種の到達点とも言える別格の1本であり、タランティーノも配給権を買い取り全米で公開させたのも合点がいく。


ゴダールの「気狂いピエロ」がジャンポール・ベルモンドとアンナ・カリーナの“神々の遊び”であったように、この作品もたけしとその他豪華キャストによるまさしく“神々の遊び”。特に初々しい寺島進と勝村政信の二人組が凄く良い。ヒロインの国舞亜矢さんも最高にキュート。

P.S.
あ~あの青々とした海と砂浜にポツンと人が一人立っているだけのショットとかなんであんなに美しいんだろう…久石譲氏の音楽も相まって泣けてくる。
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