Iri17

ソナチネのIri17のレビュー・感想・評価

ソナチネ(1993年製作の映画)
3.9
静と動、平穏と暴力、生と死という相反する価値が目まぐるしく訪れ、狂気的なラストシーンへと繋がる。一見無意味に見える多くのシーンが彼らの存在を象徴的に表している。

たけしさん自身の意識が色濃く反映された死への無関心と一種の恋慕が混在したカオス、タナトスへのツンデレ的片思いといってもいい。全篇に渡って漂う虚無感は生の無意味さを感じ取っている主人公ヤクザの思いが溢れ出ているよう。また久石譲の音楽がさらにそれを引き立てる。

生の無意味さ死への憧れは他のたけしさんの映画にも共通するテーマであり、他の任侠映画にも多く描かれる権力によって利用されるものという日本の負の文化がこの映画にも描かれている。

個人的には好みの映画じゃないが、名作であることは間違いない。
Iri17

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