PANDADA

ソナチネのPANDADAのレビュー・感想・評価

ソナチネ(1993年製作の映画)
4.0
沖縄で中松組と対立する阿南組とで抗争が始まった。中松組の友好組織である北島組は傘下である村川組を応援として、沖縄に派遣する。すぐに手打ちになると思われていた抗争は激化し、村川をはじめとする村川組の面々は中松組の用意した隠れ家にて無為に時を過ごすことになるが、、、という感じのお話。

久石譲によるテーマソング「Sonatine I (Act of Violence)が物凄く良いです。

80年代、90年代のサスペンスドラマや探偵推理ゲームを彷彿とさせる静かでかつハードボイルドな旋律に心を奪われました。

北野武監督作品としてはかなり静かな造りなので、途中に入るユーモラスなシーンもなぜか物悲しい雰囲気に包まれていて、作品全体を通して伝わるある種の「狂気」を際立たせています。

沖縄の海辺で楽しげに遊んでいるのに、寂しく鬱的に観えてしまう。

尺の取り方も独特で、長くないストーリーなのに、長い尺で撮っているシーンが多く、それがまた寂寥感を醸し出しています。

大杉漣、寺島進、勝村政信、渡辺哲らが演じるヤクザな面々も素晴らしい名演を魅せてくれます。暴力的でもなく、やけっぱちでもなく、鬱々としているわけでもないのに、悲愴感が漂ってきます。

国米亜矢もかなり魅力的に撮れていますね。

北野監督作品特有の静けさを孕んだ凶気をひしひしと感じられる傑作。
PANDADA

PANDADA