わしかずまの中の人

ソナチネのわしかずまの中の人のネタバレレビュー・内容・結末

ソナチネ(1993年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

たけし流フィルム・ノワール、キタノブルーの集大成とも言える作品。

ソナチネとは、音楽用語で分かりやすく演奏しやすい、短いソナタのことだそうだ。
この映画では簡単に人が銃弾で倒れる。まるで紙相撲のように。何気ない日常の中で突然乾いた銃声が鳴り、バタバタと死んでいく。
美しい沖縄の景色には、明らかに異質な現象であるのに、とても自然に暴力が描かれている。

中盤のヤクザたちの夏休みが特に印象的で、子供に戻ったかのようにはしゃぐ大人たち。ここでも銃声が鳴り響く。単調な発砲音が違和感なく溶け込んでいる。その延長線上に描かれる死。まるで、日常と死が同質的であるかのように。
久石譲の音楽と北野武の間が、この狂気の世界を自然に見せているのだろうか?

そして、寺島進、大杉漣、勝村政信と北野組がソナチネ独特の死生観を演じる。彼らの演技がまた自然なのだ。
人間味がある日常の表情と、無表情の対比。
気分が落ち込んでる時に観てはいけない。

「あんまり死ぬの怖がるとな、死にたくなっちゃうんだよ。」