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地球に落ちて来た男のcatmanのレビュー・感想・評価

地球に落ちて来た男(1976年製作の映画)
5.0
デイヴィッド・ボウイついに銀幕に降臨 (-人-) と思わず手を合わせたくなる彼の映画デビュー作にしてカルトSF映画の傑作。

主人公の地球に落ちて来た男=トーマス・ジェローム・ニュートンは、ボウイのアーティストイメージそのまんま。世の中には様々なタイプのハンサムと言われる男がいるけれど、彼はそれらのどの系統にも属さないユニークで異質な顔立ち&出で立ちで、常人離れしているという点においてエイリアンと呼ぶに相応しい。そもそもトム少佐として宇宙を彷徨い、その後はジギーとして蜘蛛の群れを火星から引き連れて地球にやって来るわけだから、これはもう完璧なキャスティング。彼の特異な存在感と美貌の絶頂期を記録した事でも非常に貴重で価値のある作品だと言える。ミュージシャン・ボウイの70年代後期の重要作『STATION TO STATION』『LOW』2枚のアルバムのジャケットにも本作のイメージが起用されるほどなので、彼自身にとってもかなり特別な作品なんでしょう。

映画はなかなか前衛的で、一筋縄では行かない演出&映像表現が多く、それでいて説明的なセリフもテロップも一切無いのが素晴らしい。難解だと言う声も多く聞かれるけど、自分はこれを圧倒的に支持したい。ラストが沁みる。ニコラス・ローグ監督を筆頭に、製作陣がイギリス人だからこそ撮れた作品じゃないだろうか。今回は大昔にテレビ放送を観た時以来のウン十年ぶりの鑑賞だったんだけど(津嘉山正種の吹替が凄く良かった記憶があります)、Blu-rayの映像が驚くほど鮮明で美しく、特にロケ地ニューメキシコの風景が素晴らしい。

プロデューサーは『ブレードランナー』も手掛けているマイケル・ディーリー。さすが良い仕事してますな。BRAVO!!!!
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