わたふぁ

アイズ ワイド シャットのわたふぁのレビュー・感想・評価

アイズ ワイド シャット(1999年製作の映画)
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主演の2人と、ワーナーの幹部、そして監督の数人だけで秘密裏に行われた試写の5日後にこの世を去ったキューブリック。突然の死と、なんとも不気味な仕上がりで遺作となった今作は、その後に付随してくる噂話まで含めて一連の作品として興味深い。

主人公が好奇心の赴くままに迷い込んだお城でおこわれている乱行儀式は、秘密結社フリーメイソンのそれを彷彿とさせ、秘密を明るみに出した罪でキューブリックは暗殺された!という説もあるが、
「博士の異常な愛情〜」で制作した飛行機のコックピットのセットがあまりにも精巧だったためにFBIの捜査を受けたという有名な伝説もあるくらいなので、無くはない話ですね。

仮にフリーメイソンの会員ではなく、乱痴気仮面舞踏会にも出席したことがなかったとしても、調べに調べて忠実に再現することなど完璧主義者のキューブリックにはきっとお安い御用。しかしそれくらいで殺されていては寝耳に水もいいところ。

固定カメラのどっしりとした基本の動きと、エフェクトの効いた彩度の高い画、そして究極的に美しい男女の一挙手一投足に酔いしれる悪夢の映画。
無駄に長尺で、ストーリーやシナリオは決して面白い内容とは言えないけど、好きですやっぱ。