komo

麗しのサブリナのkomoのレビュー・感想・評価

麗しのサブリナ(1954年製作の映画)
4.2
ロングアイランドの大富豪・ララビー家には2人の息子がいる。長男のライナス(ハンフリー・ボガート)は仕事一辺倒の真面目人間。次男のデイヴィット(ウィリアム・ホールデン)は女性好きで幾度もの結婚と離婚を繰り返している男。
ララビー家の運転手の娘サブリナ(オードリー・ヘプバーン)は次男のデイヴィットに叶わぬ恋をし、思いつめて車庫で自殺を図ろうとしていたところを長男のライナスに救われる。
その後パリの料理学校に進学し、2年後に帰郷したサブリナは、すっかり美しくなっていた。これには当時見向きもしなかったデイヴィットも放っておかず、彼女を上流階級のパーティーに招待する。
しかしデイヴィットは政略結婚を目前にしており、サブリナとの交流を続けることは事業の失脚を意味していた。ララビー家を守りたいライナスは、この2人を引き離すための策を講じる。


シックな上流社会を描きながらもユーモア要素が満載で、スッと入り込める世界観でした。
サブリナに対して男性陣の年齢が高すぎることに当初は違和感がありましたが、観て行くうちに気にならなくなりました。
サブリナが理屈抜きでデイヴィットにどうしても惹かれてしまう気持ちや、美しいサブリナの魅力に吸い込まれてしまうデイヴィットとライナスの心が非常に自然に描写されていたためです。

サブリナは彼らの愛を受けるのに相応しい愛らしいキャラクターでした。
デイヴィットからパーティーに誘われた際、サブリナの父は彼女に「月に手を伸ばすのはやめろ」と忠告しますが、サブリナは「月が私に手を伸ばしているのよ」と自信満々で悦に浸りながら答えます。でもそんな彼女は決して嫌な女にはなっておらず、とにかく愛嬌たっぷりで応援したくなるばかりでした。

事業成功のため、デイヴィットから引き離そうとサブリナに近づくも、自分自身が彼女の虜になってしまうライナス。
サブリナも次第に彼に寄りかかるようになり、彼に自分の夢の先を見るようになります。

それでもライナスは事業のため、今度はサブリナを遠ざけなければなりませんでした。
サブリナは男性に大きなロマンを抱いているけれど、決して愚かな女ではありません。だからこそデイヴィットから真実を話された時に、その意図を飲み込むのが早かったし、自分自身を恥ずかしく思う気持ちも強かったと思います。純真な女性がこのような形で想いを遮られるシーンはとても切ないものでした。

けれど、そんな苦さをすべて清算してくれるほどの素晴らしい結末が待っています。
ビリー・ワイルダー監督、どうしてエンディングをこれほどお洒落に演出できるんだろう。
サブリナとライナスが交わす言葉を記憶に留めておくと、このラストシーンにおける小道具の演出がより感慨深いものになります。

それとパリの料理学校の先生が愉快で素敵すぎました。私も卵の割り方を学びたい!(笑)
komo

komo