KANA

麗しのサブリナのKANAのレビュー・感想・評価

麗しのサブリナ(1954年製作の映画)
3.8

久々に観たくなって録画リストからチョイス。

前年の『ローマの休日』に続き、さらにオードリー・ヘップバーンの人気を高めた、ワイルダーによるお伽話のようなロマンティックコメディ。

堅物でビジネスがいつもプライオリティーの兄ライナス(ハンフリー・ボガート)
ルックスがよく、女たらしの弟デイヴィッド(ウィリアム・ホールデン)
この全く違うタイプの大富豪の兄弟の間で揺れ動く、お抱え運転手の娘サブリナ(ヘップバーン)。

ポニーテールにジャンパースカートでやんちゃな感じのサブリナも十分可愛いんだけど、料理の修行先パリから帰って来た時の見違えるほどの洗練された姿が本当に素敵!
この一目瞭然の変化が本作一番の見せ場かもしれない。
やがては超メジャーとなる新メゾンのデザイナー、ジバンシィとオードリーが初めて組んだ記念すべき映画が本作。

ロングアイランドに帰ってきて駅でデイヴィッドの目の色を変えさせた、細身の気品溢れる黒スーツ(頭にはシフォンのターバン)
パーティーで着た白地に刺繍が美しいイブニングドレス
ライナスとのデートで着る肩のリボンが可愛いボートネックのシックなカクテルドレス

…これら3着は前年のジバンシィのコレクションからオードリー自身が選んだ既製品だそうだけど、楚々とした彼女の魅力を最大限に引き出してる!
オードリーがモデル体型とはいえ、彼女のためのオートクチュールにしか見えない。

彼女をファッションアイコンに仕立て上げたのはジバンシィだけでなく、本作でオスカー衣裳デザイン賞をとったイーディス・ヘッドも大きく貢献。
黒のクロップドパンツ"サブリナパンツ"にフラットシューズを合わせたスタイルがあまりにも有名。
女性らしさのあるシンプルシック。
これは『勝手にしやがれ』でジーン・セバーグもしてた。
私も好きで、赤or黒のレペットを合わせてよくするコーデ♪

パリで洗練されつつも相変わらず無邪気で可愛らしいサブリナに段々惹かれていくライナスが逆に可愛い。
いつだって冷静沈着なボギーのわき腹をコチョコチョしてる気分。笑
軟派でうわべだけの軽薄な男性に見えてたデイヴィッドのラストの粋な計らい…サブリナが真のナイスガイに成長させたのかなぁ。
兄弟愛もじんわり感じられて清々しい気持ちに。

大枠はオードリーの魅力を際立たせた王道のシンデレラストーリーながら、
サブリナの恋する相手を絶妙加減でスイッチさせるウイットに富んだ脚本や、デイヴィッドのお尻の一件やライナスのプラスチックのヘンテコ製品でハズすなどの演出は、ワイルダーの玄人的なバランス感覚を感じずにはいられない。
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