どーもキューブ

現代性犯罪絶叫篇 理由なき暴行のどーもキューブのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

若松孝二の1969年東京、3人の若者、理由なき暴行



製作助手小水一男(ガイラ)
撮影助手高間賢二。
脚本出口出。
監督若松孝二。




たまに見るなら若松孝二。
日本インディペンデントポルノグラフィの開祖、若松孝二。1960年代より筋金入りのインディペンデント、どこにも属さず自主映画を作り続け、中期からは毒のある作品から一般作品も製作し続け、遺作周辺では学生運動や安保闘争系の映画、三島由紀夫映画まで撮りたい物を自主にこだわり映画を作り続けた素晴らしき映画監督。

軽くおさらい。
私の中の初期最高ホラー、まるで俺はさらしをまいたジェイソン。ただ復讐のみ白黒に咲く走る殺人鬼「復讐鬼」DVD欲しい!

犯された脳は
まわりにセックスと血の海
唐十郎を主演にすえ魅せるパートカラー白衣「犯された白衣」

俺は今日死ぬ
それは屋上さ
恰好の死に場所
あの娘と一緒に
去年劇場で見て久々に頭を殴られた「いけいけ2度目の処女」これが一番好き。高額になる前に欲しいDVD!

部屋にひろがる裸体
気分は昆虫採集さ
内田裕也を迎え
完全なるセルフリメイクのような中期のエポックメイキング「水のないプール」日本ホラー映画でも飛び抜けた異様さ。その力は紛れもない内田裕也の存在感。

寺島しのぶにベルリンから女優賞「キャタピラー」

主演の井浦新は、若松孝二の熱量に犯されているかのような三島由紀夫を描いた「11.25自決の日 三島由紀夫と若者たち」

隠れた日本映画をソフト化する「DIG」レーベル、ピカンテサーカスさん。
そこから一挙、若松孝二作品をリリースDVD化。

その作品群から一本。
「理由なき暴行」事前情報一切なし。
ジャケ眼鏡の男が銃をかまえるブラックアンドホワイト。何やら音声解説付?!DVD鑑賞しました。



いやあ流石に面白かったなあ。いっきに見た。

ていうかまず、この初期若松孝二の映画の音声が本当素晴らしい。
ポルノ映画なのに素晴らしく豊か。
だって

音楽「ザ・ハードスケジュール」

って!何よ(ちゃんと表示する意思無し)
スキャットから
ジャジィなナンバーから
とにかく無駄に豪華に耳に心地良い。
音楽雑誌で元サニーデイの曽我部さんが激褒めしていた理由が段々よく判ってきた。1960年代の若松孝二音楽!
是非必聴!

チンピラ「新宿タロー、宿の信公」って!何?どういう名前だよ。このチンピラ役多分、丹小保鬼馬二さんがいた。殴ってたなあ。私の目が間違いなければ。

とにかく素晴らしきいきあたりばったりの「ズッコケ3人組」というか完全「浪人生の仲間3人組」

口を開けば
「女とやりたい」
「金が無い」
「不満百」
からの、
強姦
恐喝
押しかけ
3人小悪党。

素晴らしいマイナスの詩1969年あたりの東京、新宿、予備校その周辺、10代。

今2019もいるだろう若人の裏姿。

終盤のたたみかける悪の末路。西部劇のようなラストのあの感じ、味わい。良いなあ。

特典映像(ラジオ音声)で相米慎二監督を前に

「今の映画はコピーみたいな映画ばかり、」

と若松監督。恐縮する相米監督を前に遺作「風花」を語るかなりの貴重音源収録。

若き若松孝二の

「若けりゃ!やりてえだろ!だからおかせよ!お前ら!銃をとれよ!」

とまるできこえてきそう。劇中、学生運動をするビラ配りの同年代に「俺らはやりたいだけよ!」と強烈に拒否する所は、とても潔くすがすがしかった。

またビラ配りの女性に強烈な文句百を浴びせるシーンも出色だった。彼女は「充実しているわ」と言うが、。

あの時代こうした学生がいたんだとも思う。この69年の学生言う反体制言論がまるでお経のようにきこえる。

勿論若松監督は後年こういう学生達を真正面から「実録・連合赤軍あさま山荘への道程」で表現。

ラスト含め素晴らしい青春ダウナー映画になっていた。

この若松孝二の初期は、有名無名もない。

若松孝二のやりたい衝動がみなどの映画も生きづいている。映画会社に縛られることない自由な犯罪映画で本当に素晴らしいと思う。

良かった!見て。ほかの見逃し作品も見れる限り見尽くしたい。



さて
1969年東京、3人の若者、理由なき暴行

ぜひ!


追伸
東映でも、
大島渚でも、
大映でも
東宝、松竹なんか絶対無理
自由だからこその徹底したやりたい罪
やりたいセックス
をいかに描くかに心を注いでいる。

若松孝二のポルノポエジーは、凄まじくオリジナルで素晴らしいですね。絶対ポップにならない表現だが、。
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