次郎

機動戦士ガンダムの次郎のレビュー・感想・評価

機動戦士ガンダム(1981年製作の映画)
3.9
80年代半ば生まれの自分にとってガンダムと言えばSDガンダムカードダスとそれに関連するゲームなのであり、所謂「富野的」と言われる世界観に触れたのは大人になってからだった。もはや古典となった初代ガンダムのSF感は今からすればレトロな趣もあり、アクセル・クラッチ・ブレーキペダルで動くガンダムには思わず苦笑してしまった。

この手の少年ロボットものによくある突っ込みとして「年端の行かない少年に、何で軍事的に重要な兵器を任せられるのか」という問いがあるけど、初代ガンダムは「1年戦争によって働き盛りの世代がみんな死んでしまったから」というリアリズムあるアンサーで返していた。オリジナルの放送開始は1979年、劇場版三部作の最初となる本作の公開は1981年。もはや現代からガンダム放送当時より、放送当時から戦争があった時代の間の方が間隔が短いのだから。機内の配給で出される缶詰、一般兵の市民に対する態度の悪さといった表現にリアリティが伴っている。

セル画の品質は今からすれば流石に荒さを感じたりもするけど、1枚絵によるダイナミズムや止める・動くの対比で躍動的に見せる作画の妙、没入感のある効果音といった演出は流石時代を作った作品だと納得。何より、シンプルで陰影の深いポスターが死ぬほどカッコいい。ガンダムの象徴とは、トリコロール以上にやはりあの顔なのだと教えてくれる。
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