このレビューはネタバレを含みます
戦争で両手両足、そして顔面を失ったジョニーの病院生活を綴るというショッキングな内容の映画で、恐ろしくてなかなか見れなかったんですがようやく見れました。
とても感慨深いです。
知ったきっかけは、学生の頃に美術手帖の松井冬子のインタビュー記事の中で、その後に読んだジョジョの奇妙な冒険の前書きでも紹介されていて、見たい気持ちが高まったのですがやはり内容の恐ろしさに手が出ずに何年も放置していたそんな作品です。
率直な感想なんですが、とても好きな映画でした。強烈な対比で生と死が色濃く描写され強く脳裏に焼き付いて離れないです。
設定、表現、結末、どれを取ってもインパクトがあり、且つそのインパクトに伴う描写もしっかりとなされていて、とても素晴らしかったです。
ジョニーの病院生活を白黒で映し、反対に彼の想像の中の世界をカラーで映し出して対比的に見せたり、その空想/夢想世界で彼が過去に体験したことや感じたことが幻想的に、そしてシュールレアリスム的に描写されていったのがとても印象的でした。
特に印象的なのが、病室へ太陽の光が射し込んだ時に、空想世界へと移り変わり、陽に照らされ燦々とした芝生の中で裸になって寝そべる五体満足のジョニーが映し出されるのシーンです。彼の心情を雄弁に物語っていて作中の中でもお気に入りの場面です。
DVDに一緒に挿入されていた予告で知ったんですが、監督のダルトン・トランボは「ローマの休日」「スパルタカス」の脚本を手掛けた人物らしく驚きました。
そして赤狩りを受けた人物でもあるらしく、もしかしたらその体験がこの作品に影響しているのかなと作品を見終えて思いました。
2020年度に見た映画の中でも一番良かったと思いましたし、また何度でも観たいです。