タケオ

ジョニーは戦場へ行ったのタケオのレビュー・感想・評価

ジョニーは戦場へ行った(1971年製作の映画)
4.1
戦場での砲撃により目、鼻、耳、口、手、足を失い"生ける肉塊"となってしまった男の物語。

まず、第一次世界大戦時の志願兵応募の宣伝文句「ジョニーよ、銃を持て」を痛烈に皮肉った題名が強烈だ。

赤狩りによりハリウッドを追放されたダルトン•トランボ監督の作品ということもあり、彼自身の体験からくる他作品にはない反戦映画としての凄みを感じることができる。

また、あらゆる感覚を失った主人公ジョーの現在をモノクロで描き、そんな彼の中にある家族や恋人との記憶を色彩豊かなカラーで描くことにより、作品全体を包み込む孤独と無情感が一層引き立てられ、残酷な内容にも関わらず作品から1秒たりとも目を離すことができない。

一向に戦争がなくなる気配のない現代において、本作は決して映画としての物語ではなく、私たち"ジョニー"の明日の物語かもしれないということを胸に刻んでおこうと思う。
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