胸糞鬱不条理大好き

ジョニーは戦場へ行ったの胸糞鬱不条理大好きのレビュー・感想・評価

ジョニーは戦場へ行った(1971年製作の映画)
4.5
全人類の義務教育教材にすべきでは。

強烈な反戦メッセージ。
戦争そのものと、体制に対する怒り。
原作は戦争状況に応じ、絶版(事実上の発禁処分)と復刊を繰り返したとのこと。凄惨なリアルがそこにあるという証拠になっている。

ジョーは戦地に送られ、そこで目と鼻と口と耳を失った。
さらに壊死した両手足は切断され、多少頭や首を揺らす事ができるのみ。
しかし彼には意識がある。
意思伝達もできず、自力で死ぬ事もできない。
今が昼か夜かも、どこに居るのかも、何日何年経ったかもわからない。


ジョーが自分の状態を感覚で把握していく様が非常にむごい。
手足を切断される事に気付いた瞬間。
アゴがない!!
目がない!!
そう分かってしまった瞬間。
モノローグの声が凄まじく悲痛で、あの声を聴くことに意味があるように思う。


戦争がダメなんてもちろん知っている。
でも、教科書でさらっただけ。
人間は体験しないと本当の理解はできないけれど、ジョーのエピソードを聞く事で疑似体験をし、想像力を働かせることはできる。


従軍牧師さんの言葉が自分の中でスタンディングオベーションだった。
神を信じるよう伝えろと、その場しのぎで言わせようとする軍人に対し、
「一生彼のために祈るが、あなた方の愚行に対し彼の信仰を試す気はない」

ホントそれだぞ。
すでに神も彼を救えていなかったしな。