イラン発の隠れた良作。
妹の運動靴を無くしてしまった兄。
マラソン大会の三等賞が運動靴だと知り、それを獲るためにマラソンに挑む物語。
普段はあまり伺えないイランの日常生活を背景に、一組の小さな兄妹の絆を温かく、そして力強く描いています。
子供たちの目線で物語が進むので、一人一人の純粋で無垢な姿が本当に印象的。
終盤のマラソン大会では、たとえ途中で抜かされても、倒れても妹のために必死に走る兄の姿が健気で、自然と応援したくなります。スローモーションを使ったりと臨場感ある撮り方も凄く巧いと思いました。
終わり方も凄く素敵。一見あまり良くないラストに見せかけて、ある一つのシーンの存在で輝きを見せてくれる構成。見終わった後の心地よさを感じさせてくれました。
時間は短い映画ですが、中身はしっかり詰まっていて、物足りなさは一切感じさせない充実感に満ちている作品です。
途中まで何でこのタイトル?って思っていましたが、それはラストまで見ると納得します。