<概説>
老人から脅迫事件の解決を依頼された探偵は、調査のうちにいくつもの不可解な謎に直面する。相次ぐ行方不明者と死人。次々登場する謎の人物達。この怪事件の全貌は果たして如何なるものなのか。
<感想>
『アルマゲドン』の搭乗員の名前と顔が一致しない!
『オーシャンズ11』のメンバーを把握しきれない!
そんなつらい経験をしたことがある方は多いのではないでしょうか。私は本作でその苦痛を再確認しました。
とはいえミステリー作品で登場人物が多いのは珍しくはありません。日本文学なら『黒死館殺人事件』なんて極めつけの怪作がありますし、原作小説の時点では然程の問題ではないのです。
ただこれを映像化すると。
というかハワード・ホークスが映像化すると。
正直追いつけない。小説のままの方が嬉しい。
監督の作品はこれで三本目とまだまだ少ないですが、彼の作品は会話劇がメインと理解しています。作中延々説明も展開も会話で進行させ、観客に思考のゆとりを与えない。
しかし人数が多過ぎるとそれ以前の話になります。
そもそもの事件は?
そもそもの被害者は?
そもそもの着地点は?
最低限の思考条件すら与えられず、どう受容したらいいのかすらもわからない。作品の雰囲気がよかろうとも、混乱しきった頭ではそれに耽溺する余裕すらない。
巷でハワード・ホークスを神格化する論調が結構蔓延しているのは知っています。ただ個人的な感想として。彼は映画監督としてではなく、興行師として一流なのではないかなあと。
映像自体を楽しめなかったのもあり、釈然としません。