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天井桟敷の人々のRyuのレビュー・感想・評価

天井桟敷の人々(1945年製作の映画)
3.6
戦時中のナチス占領下のフランスで製作された作品。制作期間3年3ヶ月、製作費16億円という当時としては破格の規模で作られた。フランス映画史上に残る名作と言われ、数々の賞を受賞した。

19世紀のパリ。一人の美女ガランスとそれを取り巻く役者のフレデリック、バチスト、インテリの悪漢ラスネール、富豪のモントレー伯爵。彼らの人間模様を描いた物語。

衣装・音楽などの美術面、そして詩的でシェイクスピアを彷彿とさせる台詞の数々。これらがホントに巧みで洗練されたものになっており、愛の喜び、悲しみ、そして醜さまでもを見せつけられました。
ストーリーだけで言えば、現代の視点で見るとやはり真新しさもそんなにないですが、魅せ方が完璧出来上がっておりました。やっぱりフランス映画だなぁ〜。
キャラクターもみんな至らない点があって、キャラクターの魅力のバランスもよくて、いい意味で感情移入し過ぎずにこの群像劇を観ることができました。
何度も登場する劇中劇も完成度が高く、現実のストーリーとの繋がりも見えておもしろいものでした。
始まりと終わりを飾る全長400m、1500人のエキストラを要した大通りのシーン、戦時中に撮影したとは思えない壮大なものでした。
細部まで作り込まれた今作。ナチス占領下でここまでの作品を作った製作陣の熱意、執念を感じました。
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