あまのかぐや

Mr.インクレディブルのあまのかぐやのネタバレレビュー・内容・結末

Mr.インクレディブル(2004年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

ピクサーの隠れた名作。これ大好き。
トイストーリーやモンスターズインク、カーズなど、キャラクター化して今もおなじみの有名作品の谷間で2004年に公開されました。

スーパーヒーロー、Mrインクレディブルとして生きてきたロバート・パーが、世の中の反ヒーロー運動、政府からのヒーロー活動制限令のあおりをくって廃業、同業のヒーロー「イラスティ・ガール」ことヘレンと結婚し家庭をもつ。一般人として3人の子供たちとともに平和な生活を送りたいヘレンのために、一般企業でサラリーマンとして働くも過去の栄光を忘れられず、妻に内緒でサイドキックのフロゾンと警察無線を盗聴し、こっそりご近所ヒーロー活動をする日々のなかで、彼の能力を買ってスカウトする謎の組織が…。

ブライアン・シンガーのXメン1作目が2000年、サム・ライミ版スパイダーマン1作目が2002年と考えると、いまのアメコミ実写映画ブームのさきがけの頃ですよね。いまこうしてMCUやDCが競ってヒーロームービーを作るようになったこのご時世、改めて見ると、ほんとにおもしろい。

パー一家は特殊能力をもってるけど、それを隠して一般人に溶け込んで生きようとするXメンみたい。イラスティガールは手足や体がゴムみたいに伸縮自在。長女のヴァオレットは透明になる能力。長男ダッシュは、目に見えない速さで移動するクイックシルバーそのもの。そして二男の赤ちゃんジャックジャックは…。

ヒーローの活動制限して登録制にして監視するなんて、まるで「ソコビア協定か」って突っ込みたくなるし、サイドキックのフロゾンは、特殊能力は瞬間冷凍だけど、ちょっとキャプテンアメリカの相棒、ファルコンみたいだし、しかもオリジナルの声優はサミュエルLジャクソンなんだよね。
悪役とヒーローの過去の因縁の設定など、アメコミ映画好きな人はゾクゾクきちゃうと思います。ちなみに悪役=シンドロームの吹替は宮迫さん。ホークアイでおなじみの。神経質そうなちょっとサイコパスはいってそうな役に見事はまっています。

そんなヒーロー映画好きが、今だからこそクスっとなっちゃう小ネタもりもり。

それでいながらヒーローものということをおいても、身につまされるようなリアルな家族の問題や諍い、子供の葛藤、親の悩み、夫婦のすれ違い、そしてそれを超えて結託する絆もいい配分で盛り込まれるファミリー要素あり。デフォルメされてはいるけど、表情豊かなキャラクターの動き、背景の美しさなどは、さすがピクサーといった感じです。

ヒーローたちが存在する社会を彼らのインタビュー番組という形で見せる導入も、そして007やMI風なスパイ映画を思わせるちょっとレトロな音楽もめちゃくちゃかっこいいです。

吹替は、Mrインクレディブルが三浦友和さん、イラスティガールは黒木瞳さん。どちらもはまってる。特に黒木さんの鼻にかかったような声がとても魅力的。長女のバイオレットは綾瀬はるかちゃんが初々しく演じているけど、まだそんなに第一線女優じゃなかったころ。アイドル人気で無理やりねじ込む吹替と違ってこの頃のピクサー吹替は、間違いのない配役が多いです(トイストーリーの唐沢さんや所さん、モンスターズインクの石塚さんや田中さんもね)

そう、トイストーリーやモンスターズインクは、だいたい誰とでも通じる話題になるけど、インクレディブルはあまり知られてなかったかな。だから2018年の夏、誰もが忘れたころのまさかの2作目が公開ってニュースに小躍りしました。当時幼稚園児だった娘も立派なアメコミ好きに成長し、彼女と楽しみだなぁ、って話してます。また1作目のようにわくわくさせてほしいわ。

機は熟した。マーベルがディズニー傘下に入る未来があるなんて思わなかったころの、早すぎたピクサーヒーロー、見るなら今よ、今。


追記
キャップ引退したら、実写でこれやってくれないかしら。クリスエヴァンス…
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