ウォッチメン×007=面白さ∞
恥ずかしながら、ピクサーの長編作品は全て見ていたつもりだが、最後まで観てなかった作品があった。
いや、見ようとはしたんですよ。遡ること7年前、レンタルしたDVDの調子が悪くて途中までしか見れなかっただけで。
ともあれ続編が公開されるということで、復習も兼ねて改めて鑑賞。
ブラット・バード監督はこの前に「アイアン・ジャイアント」を手がけていて、ストーリーテリングには抜群のセンスがあることは疑いないが、本作ではアニメーションらしからぬ実写映画のようなダイナミックな演出で楽しませてくれる。
一方で、物語は「スーパーヒーローがパワーを使うことを禁止された世界」を描いていて、パワーを抑制されていて社会に馴染めない姿が妙にリアルに描写されている。
ヒーロー映画にメタファーとしてこうしたテーマを持ち込んだのはおそらくはアラン・ムーアの「ウォッチメン」だろう。
政治的なメッセージを盛り込んだあちらに対し、「Mr.インクレディブル」は「特異体質は社会で声を殺して生きてゆかねばならないのか」という独特のテーマを展開していく。
60年代、70年代の007を彷彿とさせる音楽とギミックも心地よく、エンターテイメントのツボを的確に抑えた傑作と思う。