Longsleeper

ブコバルに手紙は届かないのLongsleeperのレビュー・感想・評価

ブコバルに手紙は届かない(1994年製作の映画)
4.5
これほどユーゴ紛争(本作はクロアチア内戦)のやり切れなさを伝える映画もない。
幼馴染みで愛し合って結婚した二人がこんな結末を迎えてしまうのか。
ザグレブ行きのバスに乗るアナの目が忘れられない。
冒頭でアナがトーマの、キスの論文について語るナレーションは、ずっと昔から人間が愛し合う方法を確立していたことに触れていて、殺し合い傷つけ合いの泥沼になった内戦への痛烈な皮肉と対比になっている。
一緒に避難した親戚が実はセルビア人だったということは、解説を読むまでわからなかった。
そのくらいわずかな差で、今まで意識すらしてなかったことで、殺し合うようになったなんてと思わされる。
ディティールへの意味の込め方が凄い。
タイトルは、混乱状態のブコバルへは郵便局までしか手紙が届かなかったことをさしているらしい。
Longsleeper

Longsleeper