我等の生涯の最良の年の作品情報・感想・評価

「我等の生涯の最良の年」に投稿された感想・評価

クワン

クワンの感想・評価

4.1
「素晴らしき哉、人生!」という名作が上映された年、もう1作印象的なアメリカの良心とも言えるような傑作があった。「我等の生涯の最良の年」(原題THE BEST YEARS OF OUR LIVES)だ。その年、作品賞含め、7つのオスカーを獲得したこの作品は、傷ついた人の心とその家族を描いた、ただ普通の人ととしての幸せを願う普遍的な物語だ。帰還兵の心の傷み、生き難さを描いた作品は数多くあれど、その原点的な作品だと思う。華やかさはない。でも深く心に沁みる。地域の人たちから歓喜で迎えられた戦争の英雄であったとしても、蓄積した心の傷はいつまでも消えることなく、普通の日常生活の幸せを得るまでに相当の苦労と時間が必要だった。そのひたむきな日々をじっくり170分かけて誠実に描いている。

見ず知らずの除隊兵3名の人生を絡み合わせ、描いているが、その一人、戦場で負傷して両手を失った兵が義手をつけていると、子供が怖がって逃げ去る。その役を演じたのは本職の俳優ではなく、実際に軍隊の事故で両手を失った負傷兵だった。彼の演技は演技を超えた素朴さと真実味に満ちていて、アカデミー助演男優賞と受賞した。両親は変わらぬ愛で包むが、婚約者は戸惑いを見せる。戦争前と変わらぬ夫婦愛もあれば、冷めてしまうものもあり、心の奥底をきゅっと握られるような様々な日常的悲劇を真っ向から描いている。「ローマの休日」の名匠ウィリアム・ワイラー監督の誠意伝わる傑作だと思う。
Ricola

Ricolaの感想・評価

3.8
第二次世界大戦から復員した同郷の3人の男を中心に、戦後の彼らの運命と現実が描かれている。
結婚して大きい子供もいる父親、新婚の男、戦争で両手を失った婚約者のいる若い男、この3人に待ち受けていた故郷での現状は三者三様である。

戦争でどんなに頑張っても復員し、元の社会で貢献することがそんなに難しいとは…。それぞれが現実とのギャップと自分のプライドに悩む。

敵味方といえど日本の戦後もそうだったのではないかと思った。お国のために戦ったはずなのに、帰ってきたら自分たちの今まで成し遂げたことが無駄だとでも言われる。

それぞれの人間模様、心理描写がわかりやすく描かれていた。
fujiK

fujiKの感想・評価

-
📺✒️📑
1946年アカデミー賞の作品賞はじめとする9部門受賞した作品。
なかでも、戦争で両腕をなくしたハロルド・ラッセル(ホーマー役)は助演男優賞を受賞。
実際に戦争で両腕をなくしての心の乱れ・喜びの表現などは感動的。

物語は、3人の戦場からの帰還兵が出会うところから始まる。
3人は、同じ町に帰還する飛行機に乗り合わせたのだが、銀行員のアル、喫茶店員だったフレッド、戦場で両腕を失って義手しているホーマー。
この3人の家族や恋愛を描いた映画。

しかし、第二次世界大戦が終わった翌年1946年に、このような映画を作ってしまうアメリカとは凄い国。
戦後に抱えた人々の苦悩、希望を謳歌して描いたウイリアム・ワイラー監督の手腕が冴えている。

空爆隊に居たフレッドが持っていた写真(空爆中の写真)で、爆弾の破裂しているところを「空に咲く黒い花」と表現するあたり、上手さを感じた。

3組の家庭ドラマを描いており、2時間52分は長く感じなかった。
佳作。
第二次世界大戦終戦の翌年に公開されたアメリカ映画。

3人の帰還兵を中心に当時のアメリカの状況が描かれる群像劇。

一面焼け野原となった日本と違い、本土に空襲のなかったアメリカの姿は戦前と変わらないように見える。それでも彼ら帰還兵が復帰しょうとする姿には戦争の影が大きくのし掛かる。

戦勝国の映画であり、日本の刀や日の丸に寄せ書きしたものをお土産にするなど、日本人としては複雑な気持ちになる描写もあるけれど、戦勝国であっても、戦争に関わった人々は大きな傷を受ける、簡単には以前のようには戻れないということでは変わらない。

さすがに戦後間もないこともあり、最後は希望のある終わり方になってます。

監督はウィリアム・ワイラー。どのジャンルでも一級のドラマを作りますね。
LaserCats

LaserCatsの感想・評価

4.0
帰還兵3人が故郷へ戻って…という話。
戦争で活躍して帰ってきても夢が実現できるわけではないし、長いこと離れていてすんなり前と同じように戻れるわけではないし、負傷してそれが心の障害になってしまうこともある。
実際に両手が義手のハロルド・ラッセルが演じているからこそ、伝わったこともあるんじゃないかなあと思った。
AFI100シリーズの感動の映画100を昔NHKで放送してて、この作品を知ったんだよなあ。ああいう番組好きなんだけど、またやらないかしら。
mmd14r

mmd14rの感想・評価

3.8
戦争から戻った兵士たちが現実世界に復帰して、社会に馴染む難しさと時間が変えたものの儚さを描く。

家族がある兵士にとって、その家族と離れた時間がどこかなんとなく距離をも離したように感じて、もどかしさを感じる。変わらぬ愛が身も心も傷ついた兵士をどれだけ癒すか。

死が背中合わせだった戦場から生きて帰った兵士たちがどんなプライドを持ち、どんな思いで社会で生きるのかがよくわかる。


映画学において扱われることが多いこの作品は、確かに戦略的描写が多いけれどそれ以上にストーリーが良かった。
アメリカは世界大戦での戦勝国ですが、一市民と軍人にとっては爪痕は大きかったのですね。様々な形で帰還兵の悲哀が描写されて、本当に心を打つ物語になっています。
帰還兵たちは戦地に赴き、離れ離れになってた家族や恋人たちとの再会に不安を抱いてました。特に戦地で両手を失った男は、恋人や家族に迷惑を掛けることに負い目を感じてる姿が痛々しかったですね。また愛する人たちの温もりを両手で感じることが出来ない侘しさに戦争の残酷さが伝わりました。
出征前に20日程の結婚生活をしていた男も、戦争の間の故郷での空白の時間に戸惑ってました。一見女性には不自由しない伊達男ぶりですが、距離が離れると気持ちが離れる人間の心の難しさが伝わってきました…。それでも大尉の娘と知り合い、新たな恋を見つけるという逞しさには救いがありました。
大尉も銀行員として社会にカムバックしたものの、戦地と本国の価値観の違いに戸惑いを隠せないようでした。それで酒に逃げたりして…。
本作は戦後の描写による反戦映画だと思います。決して愛国論を説くものではありません。ベトナム戦争では帰還兵の苦難を描写した作品は多くあります。それは国民から批難された戦争であり、時代の潮流でもあったからでしょう。本作は日米の戦争で戦争の罪なる部分を見せてるところに潔さを感じます。そのような中でも登場人物たちが立ち直る方向に導かれ、救いのある作品に仕上がってるところに名作と言われてることに納得が出来ます。
電気羊

電気羊の感想・評価

3.2
第2次世界大戦後の3人のアメリカ復員兵の物語。ベトナム戦争のような泥沼戦と違い、原爆であっさりと勝利を収めたアメリカ兵は精神を病んだような感じでは描かれておらず、家族問題や復員後の生活が描かれている。ここら辺が、独り者で世間からのはみ出し者となったランボーとは雲泥の差なんだな。意外だったのが、アメリカを勝利に導いた原爆は素晴らしいの意見一辺倒かと思いきや、復員兵の一人が、息子から放射線の影響や原爆批判のような意見を聞かされ唖然とするところだったり、日本とナチスなら共産主義を葬ることができたとか、そういう見方もあるのかと驚いた。敵側であろうと公平に考える人間がいるというのは、ある意味アメリカの正義を演出したかったのかなと思える。しかし、寝言の戦争実況中継は悲惨というより、女性に聞かせるためにワザとやってるだろう勘ぐるくらい迫真で笑った。まあ、前半はこんな感じで進んでいくのだが、後半一気に全員のラブストーリーが完結し、ハッピーエンドでめでたし、めでたし。
>|