だいごろー

次郎物語のだいごろーのレビュー・感想・評価

次郎物語(1955年製作の映画)
4.0
@神保町シアター

子どもの真っ直ぐな眼差しを捉えたシーン、走るシーンがどれも良い。
波乱万丈な人生を歩む次郎と3人の母親のエピソードは各々の魅力とともに涙を誘う。

中でもラスト、「お母さん」と連呼する次郎と母親が家の中でお互いを探し合うシーンの絶妙な遭遇しなさ加減。古い日本家屋だからこそ撮りうる時代感もあって、ようやく会えた2人が抱きしめ合う瞬間はとても良かった。このシーンはどうしたって泣ける。

かつて育った家にひとり来た次郎がぼうっと声を出すと、ガランとした家の中で幻想的に響くシーンもとても良かった。

最後、「終」の文字ではなく、次郎の人生は続いていくという短いテロップが出て映画は終わる。
清水監督の他の作品、「小原庄助さん」でも「終」ではなく、「始」という文字で映画を終えることで、映画が終わるけれども、彼らの人生は続いていく、という演出をしていた。今作も似たようなラストだった。