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スリーパーズのytのレビュー・感想・評価

スリーパーズ(1996年製作の映画)
3.8
「レインマン」でアカデミー監督賞を受賞したことでも知られる、バリー・レヴィンソンが描くサスペンス・ドラマの傑作。キャラクター1人1人の心情を丁寧に時間をかけて描く。少年院で受けた虐待や性的暴行に対しての復讐を決意し、固い友情ゆえに行き着く復讐劇は汚いが美しい。若い頃のブラッド・ピットやロバート・デ・ニーロ、ブラッド・レンフロが観れるオススメの1本。

[あらすじ]
→ 1967年、マンハッタン。仲良しだった四人組は、いたずらをきっかけに少年院に送られてしまった。そこで看守から受ける、想像を越えた虐待の数々。そして、出所してから十年後。四人のうちのジョンとトミーは、偶然出会った看守のノークスを銃殺した......。

[レビュー]
・本作は、ノンフィクションか否か語り継がれる作品の1つでもある。当時、原作を著したロレンツォ・カルカテラは少年院で実際に体験した仕打ちと復讐だと綴る。本作終了後、物語が事実では無いと主張する裁判所と検事局、事実だと主張するロレンツォの見解がそれぞれテロップで出る。真実がどちらにせよ、レヴィンソン監督の作品に対する熱意が伝わる、緊張感を持つ作品だと感じる。監督はどこまで真実を知っていたのだろうか……。

・4人が少年時代であった頃のシーンを1時間弱かけて描くことで、感情移入がしやすくなった一方で、少年院の一件から一転、大人になり裁判となった際の描きが少し薄い気がした。事実であってもなかったとしても、ブラッド・ピット演じる検事は少々現実味で無いところが悪目立ちしているような気も。ロバート・デ・ニーロが証人席へ向かうのも、もう少し躊躇っても良かった気がするし、上映時間が147分と長いとはいえ、180分に伸びるくらい長くなってもいいから、もっと演出を濃く描いても良かったと思う。

・だが、ブラッド・ピット始めジェイソン・パトリック、若い頃のブラッド・レンフロ、ダスティン・ホフマンとロバート・デ・ニーロの夢の共演など、キャストだけで見るとかなり豪華。ケヴィン・ベーコンを初めてこの作品で観た人はトラウマになるかも。キャスト目当てで観てみても面白いかもしれない。

👉演出の面ではまだまだ劣る部分はあるが、それでも原作が小説なだけあって映画として良作が出来るであろう題材。少し惜しい作品だが、それでも147分という時間で見応えのある作品だ。
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