薬物によって身を持ち崩していく人達の姿を最悪の現実と希望的空想とを最後の最後までしつこいくらいに、交互に挟むことで身震いするほどおどろおどろしい作品に仕上げている。
薬物でひと稼ぎしようとする者、その尻馬に乗って美味しい思いをしようとする者、何も知らずに薬に溺れる者、それらを食い物にする者、画一的対処しかしない者、傍観者でしかいられない者…。
様々な視点から描かれているのもこの映画の妙だと思う。
映像も格好良くて飽きをこさせない。
薬物に気軽に手を出すな！と口で言ったりポスターで啓発するよりは、この映画を観せる方が効果的だと思う。
高校生あたりに観せれば、その内１人か２人は考えを改めるかもしれない。
同じく薬物を取り扱った作品「トレインスポッティング」は、薬物使用の恐ろしさを主に若者に向けて作られたけど、映画の出来がスタイリッシュ過ぎて公開当時はむしろ薬物利用者は増えたとか…。
当作のその辺りの反響は知らないけど、落ち込む映画ランキングで"ダンサーインザダーク"や"ミリオンダラー・ベイビー"を軽く押さえて１位に選ばれたあたり、薬物使用啓発にひと役買っていそう。
