たむ

眠狂四郎 無頼剣のたむのレビュー・感想・評価

眠狂四郎 無頼剣(1966年製作の映画)
4.3
市川雷蔵さん主演の眠狂四郎シリーズは、何本か観たことがありますが、本作、めちゃくちゃ面白いです。
眠狂四郎といえば、従来の時代劇ヒーローにはないニヒリズムと虚無性がありますが、本作の敵は天知茂さん演じる同じ円月殺法の使い手。
市川雷蔵さんと天知茂さんの戦いなど、それだけで鼻血が出そうな、スクリーンから匂い立つ、色気と絵力…!
スター映画としても素晴らしいのですが、内容もサスペンスに優れています。

大塩平八郎の乱が背景としてあり、池田屋事変のような事件を江戸八百八町で起こそうとする残党。
彼らを追って来る女。
実は狂四郎は、かつてさらし首にされた女の想い人で天知茂さんの仲間だった男とそっくり。
テロリストとそれを止めようとする女の間に挟まれる瓜二つの狂四郎…これは葛藤します、まさにドラマです。
チャンバラやスペクタクルの面白さは当然ありますが、核となるのが、非常に深いドラマなので、クライマックスの盛り上がりが半端ではないです。
脚本は誰かと思ったら、巨匠伊藤大輔監督。
哀愁漂う音楽は伊福部昭さん。
日本映画黄金時代から少し経ってはいますが、70分台で練り上げられた無駄のない傑作時代劇映画ですね。
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