[完全版を鑑賞。人が多いのでこちらでレビュー]
〈禁酒法時代。アメリカンギャングのはじまり〉
ユダヤ系移民の主人公の少年期、青年期、老年期を交錯して描いたセルジオ・レオーネ監督の遺作。少年期は『青春群像』『ミーンストリート』、青年期は『時計じかけのオレンジ』『グッドフェローズ』の香りがした。
1920〜33年の禁酒法やデモに対する抑圧など、舞台となるニューヨークからは体制社会としての様相が感じられる。
ギャングとしての成り上がり、友情劇に浸っていたら、いつのまにか大詰めとなっていた。そして待ち受けていたのは驚きの真実と印象的なラストカットであった。本作はデ・ニーロの笑顔で幕を引くのだ。
エンリオ・モリコーネの郷愁的な音楽は、回想を中心とした本作にピッタリだった。モリコーネの音楽の力はあまりに強大で、くどく感じてしまうときもあるのだが、本作には丁度よかったと思う。過激な場面も含まれる本作だが、全体としては緩やかに時間が流れていったような印象だ。