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らせんのmatchypotterのレビュー・感想・評価

らせん(1998年製作の映画)
2.8
『リング』から生まれた貞子。
その怨念を科学的に突き詰めた作品『らせん』。

真田広之、佐藤浩一、鶴見辰吾、松重さん。
今や日本の映画の「渋いおじさん枠」を牛耳る名優達の共演も実はスゴい。

昔観た時はさっぱり意味がわからなかったが、改めて観てやっと腑に落ちた。
途中から中谷美紀の様子がおかしくなるけど、あれはそういうことか。

貞子の怨念がビデオを通して人にウィルスを発生させる。遺伝子レベルのこのルールがなかなか難しい。いや、簡単なんだけど、そんな簡単な話ではないと言うか。

『リング』と『リング2』の流れとはまた違う『リング』から派生したスピンオフみたいな話。
最近、先に『リング2』を観ちゃってたから、余計にその違いがわかった。
こっちは、そっちと違う、文脈と展開なんだな、と。『リング2』との間、でもない、別物。

貞子の怨念を科学的に捉えて、ウィルスとして可視化する。
そして、ビデオを観たのに、呪われて死ぬ人と死なない人の違いに“ある基準”を設ける。

貞子とその呪いに囚われながらも、逃げ惑いながらも、必死に争い、戦い7日間の呪縛と向き合う『リング』と違い、この『らせん』は、初めから貞子の掌の上で転がされる人々の話。

つまり、貞子が自ら受けた“恐怖”を糧に、人に“恐怖”を与えて、自らも実体化しながら、新たな神をも凌ぐ存在となり、その存在が世に放たれる、と言う話。
この話より、この話の後の展開の方が気になるなかなか不気味な作品。

『リング』であれだけ良い男だった高山も、こっちではどことなく、世間を達観した感じで、ちょっと貞子の魂胆に共鳴しちゃってる感じ。
だから『リング』目線で観ると、何か少し裏切られた感は否めない。

が、これはこれで別の世界で、貞子を放っておくとこういうパターンもありますよ、として観れば良し。

というのと、「貞子、実は結構可愛かったんかい!」とツッコまざるを得ない。
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