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望郷のtakのレビュー・感想・評価

望郷(1982年製作の映画)
3.5
香港映画にはアクションとカンフーとコメディしかない、と当時の僕は思っていた。その先入観を覆した映画が、アン・ホイ監督の「望郷」だった。

解放後のベトナムを訪れた日本人カメラマン芥川。新しい街並み、新経済区に暮らす幸せそうな子供たち。ある日、彼は貧困生活を送る少女チンニャンに出会う。チンニャンの家族と親しくなる中、芥川は幼いチンニャンを救えないかと考えるようになる。

この映画を観た当時、日本は政府開発援助の額で世界一になった。日本のみならず先進国の支援は、本当に救われるべき人々の元に届いているのか。この映画は世界へのメッセージが込められているのではないだろうか。女性監督の映画だから、もっとハートウォームなものを期待していたが、この映画が描き突きつけるのは厳しい現実と衝撃的なラストシーン。

シリアスな話なのだが、日本人役を演ずる俳優の怪しげな日本語がどうしても気になってしまう。
「芥川さん、あーたはこの国が気にはいりましたか?」
「はいー、気にはいりましたぁ」
"気にいる"って言いたかったんだよね。されどこの映画は力作。怪しげな台詞は聞き流して、メッセージを受け取って欲しい。
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