ニケ

ひとりぼっちの青春のニケのレビュー・感想・評価

ひとりぼっちの青春(1969年製作の映画)
3.8
大恐慌時代、アメリカの海辺のダンスホールに集まった様々な人々が多額の賞金目当に過酷なダンス・マラソン大会に挑む様を描いたアメリカン・ニューシネマの佳作

監督シドニー・ポラック
主演はジェーン・フォンダ
アカデミー賞9部門ノミネート作

ダンス・マラソンとは男女がペアになり昼夜を問わずただひたすら踊り続けて最後の1組まで残ったペアが勝ちという競技。2時間踊ると10分休憩、食事は踊りながらとり、まともに眠ることさえできない過酷な状態が何十日にも渡って続く。こんな無茶苦茶な競技が昔実際にアメリカで行われていて人気を博していたというから驚きだ

最初はそれぞれ着飾った衣装で華麗なステップを披露したりと余裕を見せていた参加者たちも時間が経つにつれ疲労から肉体的にも精神的にもボロボロになっていく。生気なく左右にユラユラと集団で揺れる様は異様な光景だった

極め付きが合間に行われるダービーと呼ばれる強制参加のレースだ。円状のコースをペアでグルグル走り続け下位三組が失格になるというダンスとはまるで関係ない催しなのだが、心身共に疲れ切った参加者たちが我先にと必死の形相で行うレースの模様はまさに地獄絵図。発作で動けなくなったパートナーを引きずってまでも先を急ごうとする姿は観ているこっちまで息苦しくなってくる
そんな参加者達の様子を見て楽しむ観客に
場を盛り上げる為なら何でもする主催者‥
人間の醜さ・浅ましさを嫌というほど見せつけられた

この話にどう決着をつけるのかまるでわからなかったけど予想外のラストだったなあ

中盤まではかなり短調で退屈だし観ていてストレスも溜まるからオススメはしずらいけど、アメリカンニューシネマの隠れた名作だと思う

ちなみにダンスマラソンの最長記録は5152時間なんだそうだよ笑
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